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労働組合と団体交渉権
「労働者が主体となって自主的に労働条件の維持改善その他経済的地位の向上を図ることを主たる目的として組織する団体又はその連合団体」が「労働組合」です(労働組合法2条)。
憲法上、勤労者には労働組合を通じて使用者と労働条件に付いて交渉する権利すなわち団体交渉権が認められています(憲法28条)。
団交の対象
労働組合法7条2号で「使用者が雇用する労働者の代表者と団体交渉をすることを正当な理由がなくて拒むこと」は「不当労働行為」として禁じられています。
つまり、団体交渉には応じる義務があります。
また、団体交渉自体に応じても、形だけで全く聞き入れる気がないようなときなど、使用者が労働者の団体交渉権を尊重して誠意をもって団体交渉に当たったとは認められないような場合にも不当労働行為とされます(東京地判平成9年10月29日労働判例725号15頁)。
もっとも、労働組合が交渉を求めること全てに対応をする義務があるというわけではありません。
団体交渉を行うことが法律上義務付けられている「義務的団交事項」は、一定の範囲に限定されています。
なお、団体交渉は話し合いなので、使用者が望むなら義務的団交事項労働組合と交渉することができます。
さらに、「正当な理由」が伴えば、団体交渉を拒否することが可能です。
例えば、不特定多数の参加を申し入れたり、暴力的な手段で団体交渉を申し入れたりするなど、正当な交渉を行うことが期待できない場合です。
義務的団交事項
義務的団交事項は、「組合員である労働者の労働条件その他の待遇や当該団体的労使関係の運営に関する事項であって、使用者に処分可能なもの」とされます(前掲裁判例)。
具体的には、報酬や労働時間、休息条件、安全性、労働災害への補償、教育訓練などが挙げられます。
労働の内容や場所といった事項も基本的には労働条件として義務的団交事項ですが、日常的・軽微な事柄で指揮命令の一環として委ねられる範囲であれば外れます。
逆に言えば、経営方針や事業計画といった、労働条件や雇用そのものに関係しないようなものは、義務的断行の範囲からは基本的に外れてくることになります。
これらは、労働組合員の権利に深く関連する売位でもなければ、使用者側が自らの責任で決める事項だからです。
弁護士に相談を
労働組合が交渉を要求する事項が義務的断交事項に該当するかの判断は、難しいこともあります。
また、団交を拒否することに正当な理由が認められる可能性もあります。
団体交渉の申し入れがあった場合には、早期に弁護士に相談し、対応を検討することをお勧めします。
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